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世界水準で最先端の課題に真正面から向き合う面白さ

ユナイテッド・イミュニティ株式会社
代表取締役会長 
原田 直純さん

研究開発部門
本部長 
曽我孝利さん

 

マクロファージや樹状細胞へ薬物を送達するナノテクノロジーを活用した「ナノ免疫治療法」を用いて難治性がんやウイルス感染症の新しい治療法の研究開発に取り組んでいるユナイテッド・イミュニティ社。

25年以上、がん治療薬の研究開発に取り組み、ナノ免疫治療法の実用化を目指しユナイテッド・イミュニティ社を設立した創設者、代表取締役会長の原田 直純さん。

そして、2022年に大手製薬企業から同社へ参画し、現在は研究部門の本部長を務めていらっしゃる曽我孝利さんのお二方にユナイテッド・イミュニティ社の成り立ちから実用化を目指している技術、共に働くメンバーへの想いなどを伺いました。

ナノ免疫治療法との出会い、社会実装を目指して設立

–原田さんは元々事業会社、大学でがん領域の研究をされていましたが、どういった経緯でユナイテッド・イミュニティ社の設立に至ったのでしょうか。

 

原田さん(以下、原田):

私は大学を卒業してからこれまで25年以上、大手製薬企業、ベンチャー企業、そして大学で抗がん剤の研究開発に携わってきました。

現在、がんの免疫療法は世界中で様々な研究開発がなされていて、すでに承認されている薬もあるのですが、2005年頃、私が所属していた三重大学ではがんに対する免疫の研究、さらには医工連携研究にて京都大学工学部が研究していたナノ粒子を使った薬剤を送達する技術(ドラッグデリバリーシステム、以下、DDS)を担当しており、そこで強力な免疫療法の開発を目指したナノ粒子を使ったDDSの応用研究である、ナノ免疫治療法に出会いました。このナノ粒子の研究は30年以上国内で研究されていて、中には患者さんに応用して有効と期待できる技術であるというところまで研究が進んでいます。

そこでその技術を誰かが預かり、会社を立ち上げて社会実装化に向けた研究開発をしなくてはいけないという局面があり、当時、大学教員であったのですが私が手を挙げて2017年に設立したという経緯になります。

–そして2022年、曽我さんが参画されていますが、どういった経緯で入社されたのでしょうか。

 

曽我さん(以下、曽我):

私自身はこの会社に入ってちょうど1年になります。それまでは国内の大手製薬企業にいて、一番長いキャリアは創薬研究です。色々な領域に携わりましたが、一番長いのはがん研究領域になります。

創薬研究以外にも、事業開発的な業務やベンチャー企業に投資する業務などにも携わったことがありました。それでちょうど原田さんと一緒に仕事をしていた方に共通の友人がいまして紹介を受けて原田と出会いました。色々とお話を伺う中で、原田さんの仕事や研究開発に対する熱意を感じ、この方と一緒に仕事ができたら楽しいだろうなと思い、飛び込ませていただいたというのが入社の経緯ですね。

今は研究現場のマネジメントをするのが私のメイン業務ですが、原田さんは今でも研究現場の最前線でディスカッションしていますので、ほぼ二人三脚で進めています。

–業界内での御社の強みは?

原田:がん免疫領域では、がんの種類に寄りますが、患者さんの中にはがん細胞を排除する免疫機能が上手く機能していないことが分かってきており、がん組織の中にいるがん細胞以外の細胞に、その秘密があるいうことが世界中の研究者の共通認識なってきています。それを担う細胞に対して真正面から取り組む会社は意外と少ないのですが、弊社では、最初からそこにフォーカスすることで、これまでにないがん免疫治療薬を作る答えがあると考えて取り組んでいます。取り組んでいる課題は世界水準で最先端の面白いことをしているという自負があり、そして、実際にそれを実践できる技術も備わっている点は企業としての魅力であると思います。

曽我:実際に私も大手製薬企業の中で仕事をしていたので分かるのですが、大手はどちらかというと取り組むまでに様子を見る、むしろアカデミアとか弊社のようなベンチャー企業の技術やアセットが本当かどうかを確かめに行くのを待つというケースが多いと思います。でも大手の中にも、先端の新しい取り組みに対して試行錯誤の段階から共同して試したいと手を挙げる会社や研究者もいらっしゃるので、「事業として弊社はこれで勝負する」としっかりと看板を掲げているところは、一つの売りと思いますし、実際に私もそこに魅力を感じて仲間に入りましたので、強みであり魅力であると思います。

–DDS(ドラッグデリバリーシステム)の応用研究技術の実用化について詳しくお聞かせください。

曽我:がん細胞が免疫機構からの逃避することに関与している「PD-1」という分子を発見された本庶先生がノーベル賞を受賞され、新しいがん免疫治療薬に繋がったというお話は、医療関係者以外の一般の方でも耳にされたことがあるかと思います。そういった素晴らしい薬が開発されましたが、しかしながら、効果がある患者さんは一部であり、効かない患者さんがまだまだ多くいらっしゃるのが現状です。私たちは、そういった患者さんに対しても効果を示す薬を作りたいというのが事業の大きな柱になります。

弊社が特に注目しているのは「がん組織において、がん細胞を排除、攻撃しようとする免疫機構を抑制する環境を作っている免疫細胞」です。マクロファージという細胞です。

免疫とは、体内に入った異物や悪いものを排除しようとしたり、やっつけたりする働きのことを指しますが、身体の中にできた異物であるがん細胞も同じで、本来は排除されるのですが、何故かその排除機構が機能せず、がん細胞が増えてしまい、がんを発症してしまいます。つまり、がん細胞に対して自分の免疫機能を高めるというのががん免疫療法では重要とされています。

私たちは、「がん細胞が生き残る手助けをしている悪者を、逆にがん細胞を排除する役者に変える」という新しい治療法を開発しようとしています。

具体的には、がんの中にいるマクロファージという細胞に選択的に薬物を届けるDDS技術を用いて、マクロファージを活性化させ、がん細胞を排除する働きに変え、それによりがん細胞を排除する他の役者も活性化して、最終的にがん細胞を駆逐するというアプローチで薬を作ろうとしています。

原田:世界的にもマクロファージに働きかけるというこの切り口は今非常に注目をされているところですね。

–DDSの技術は具体的にどのように応用されるのでしょうか。

曽我:従来のがん治療薬の多くは、通常、静脈注射等で全身的に投薬することが多いのですが、がん以外の望まない臓器にも同じように届くため、副反応が起きて投薬量が上げれないといった課題があります。副作用に関わる臓器へ届く薬量を下げつつ、狙った場所へ届く薬量を上げれるDDSを活用できれば、より高い治療効果の発揮が期待できます。私たちは、京都大学の秋吉先生らが開発していたプルランナノゲルというDDS技術の特性を生かして、がんの中のマクロファージへ選択的に薬を届けることに応用しています。

このナノゲルはマクロファージを始め一定の細胞に取り込まれるということが分かっています。その受け手となっている受容体を私たちは同定しており、その発現分布は現局しているので、大方狙ったところに選択的に届けられると考えています。一方で、1か0かというとそうではなく、他にも発現している細胞や臓器はあるので、それらにも一部は届くということは想定しており、どのような薬剤を中に詰めて届けるのかを上手く選択をすることも大事な要素と考えています。

投与の方法によっては、がんのマクロファージだけでなく、リンパ節の樹状細胞にも届けれるということも分かっているので、マクロファージを狙ったがん免疫治療薬だけでなく、感染症ワクチンへの応用なども視野にいれて研究をしています。

取り組もうとしている問題が正しいものであって、その答えを見つけるための非常に強力な武器は持っている

 

–今も継続してあるかとは思いますが技術面、組織面においてこれまでの苦労などはありますか?

原田:技術面においては、弊社を立ち上げる前に、大学関係の大きな協力もあり、医師主導の臨床試験もできたましたが、会社として立ち上げた後の組織作りは結構大変でした。弊社に限らずスタートアップは人が集まった後も実践的な組織体制をどのように作っていくかなど、様々な課題はあります。幸い弊社の場合は、そういったことに長けた方が多いので、皆さんの手を借りてなんとかなりましたが、それでもやはり会社としての仕組み作りのところで時間がかかりましたし、研究者を探すのに時間がかかったことはありました。関西はバイオ業界が盛んといっても、やはり関東に比べると相対的に母集団が少ないという印象はあります。

–組織作りで特に意識したことはありますか?

原田:私や曽我含めて、他にも製薬会社やベンチャー企業出身者が多いので、新しいことは積極的に取り入れ、今、最善と考えられる組織作りを意識していました。また、社員に対して意識していることは、あまり「否定をしないこと」ですね。組織についてはなんでもすぐ簡単に変えられるわけではないですが、状況や変化に応じて、現状に執着せずにどんどん進化させていければと考えています。

アカデミアのご経験しかない方を社員として迎えた時には、企業という組織に馴染むのに少し時間がかかるかと思うので、上長と管理部門から丁寧にガイダンスするなど、一日でも早く馴染んでいただけるようにしました。

–今後の展望は何でしょうか?

原田:まずは、今取り組んでいるがん免疫療法の実用化に一番注力していきたい、というのが本音です。色んなことを試したいとか、新しい技術を開発したいとかアイデアは色々ありますが、ベンチャー企業ですので、まず一つ成功をしないと企業としても一段上の世界に行けないので、まずはそこを目指して進めて行きたいと思っています。まず、マクロファージを狙った薬に取り組み、これまでの治療法では効かなかった患者さんに希望の光を届けることにフォーカスをしたいと思っています。

–求職者の方へメッセージをお願いします。

曽我:弊社には、武器となる技術はあると自負していますので、私たちの目標に共感して一緒にやってみたいと思う方は、ぜひ飛び込んできてください。また、研究者の場合、企業研究者としてお仕事に関わっていただくためには、様々な実験技術や知識が必要ではありますが、入社後、貪欲に学習、吸収して成長したいと思っている方であれば大歓迎です。

弊社は、現在十数人の規模であり、外から見るとこれだけの人数で仕事をしているように見えるかもしれませんが、実はそうではなく、様々な大学の先生方やベンチャーを含む企業の方々と密に連携をしながら仕事を進めています。その辺りも弊社の魅力の一つと思います。熱意を持って研究開発に取り組みたい、そういった仲間と一緒に仕事をして成長したいと思っている方々と、大きな夢に向かってワクワクとした気持ちで一緒にお仕事ができれば嬉しいです。

 

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