「食品」「化粧品」「バイオ・ヘルスケア」業界専門の転職エージェント

自分を表す冠とサステナビリティへの共感を。

2020/08/18
株式会社ユーグレナ
執行役員 研究開発担当
鈴木 健吾さん

食品やバイオ燃料の原料として、近年メディアにも取り上げられている微細藻類ユーグレナ。別名は小学生の頃に理科で習った「ミドリムシ」です。このユーグレナの研究開発を進め、さまざまな商品の研究開発・販売を手掛けているのが、株式会社ユーグレナです。

学生時代にユーグレナの研究に携わり、ユーグレナ社の創立メンバーでもある研究開発担当・執行役員の鈴木健吾さん。理化学研究所での微細藻類生産制御技術研究チームリーダーも務め、農学・医学分野での博士でもあります。

ユーグレナ社の成り立ちから現在の研究、共に働くメンバーに求めることについてお聞きしました。

食料課題や環境問題など、社会問題の解決を目指して設立

──株式会社ユーグレナは、社名の通り「ユーグレナ」、別名ミドリムシを扱っていらっしゃいます。鈴木さんは会社の立ち上げから携わっていらっしゃいますが、立ち上げに至るまでの背景についてお聞かせください。

鈴木さん(以下、鈴木):ユーグレナの研究を始めたのは、学生時代です。「人の役に立つ技術を開発し、社会に実装したい」という思いを抱いていまして、適した研究テーマを探すなかで行き着いたのがユーグレナでした。世界の食料問題と環境問題を同時に解決できる可能性がある点に惹かれたんです。

食料問題については、学生時代からの友人であり、のちに弊社社長となる出雲からよく話を聞いていました。彼は大学1年生の時にバングラデシュに行き、栄養失調の現状を目の当たりにした経験があります。そうした背景があり、学生時代から世界の現状と課題について話をしていたんです。

一方、私は環境問題の解決について課題意識を持っていました。ユーグレナは食料として活用できるという利用用途があることに加えて、二酸化炭素を吸収して育つため、温室効果ガス問題の解決策になり得る。一挙両得な研究だったんです。

ユーグレナの研究を続け、2005年に株式会社ユーグレナを設立。ユーグレナの大量培養の目途も、事業に活用できる土台もできていないときの設立でした。大量培養の実現までが最初の大きなハードルでしたね。

研究者として研究を続ける道もありましたが、社会にインパクトを及ぼすためには社会に実装することが必要だと考え、会社設立に加わりました。

──最近では、テレビ番組にユーグレナがとりあげられるなど、会社としても素材としても認知度は大きく向上しているのではないかと感じます。2005年の設立から今に至るまで、鈴木さんが感じる変化はありますか?

鈴木:設立当初、ビジネスとして付加価値が付けられるとして開発に注力していたのは、食品や化粧品ヘルスケア領域でした。現に、今メインの売上は食品と化粧品です。

時代と共に変化を感じているのは、環境に対する社会の意識向上ですね。残量が限定されている化石燃料の代わりになり得るバイオ燃料も、弊社の研究開発テーマのひとつです。いますぐ市民生活に関わる分野ではありませんが、研究成果の発表に対し社会の注目が上がったと感じています。とはいえ、ずっと「人と地球を健康にする」という思いに変わりはありません。

──設立から15年間、注力してきたのはどういった部分なのでしょうか。

鈴木:ユーグレナは世の中にとって歴史の浅い食材です。食経験がないものを食べてもらうため、安全性や品質の担保に関する研究に注力してきました。それらに加え、食べるとどのようなメリットがあるのかについても研究を繰り返してきましたね。

また、世の中の人たちに食材だと知ってもらうため、積極的に情報発信にも取り組んできました。ただ、「知っている」と「食べてみる」は別物です。そのため、「買ってみよう」と思ってもらえるところまで興味関心を高め、実際に購買できるよう販売流通経路を整えるといったところにも力を入れてきました。

──市場流通を実現させるために行った工夫はありますか?

鈴木:伊藤忠商事さんからアドバイスをいただきました。ユーグレナのように、これまで食品として流通していなかったものを流通させた経験をお持ちだったんです。大手食品会社とのやり取りに必要なデータについてなど、助言をいただけたのは大きかったですね。

求職者に求める大前提は、「社会課題の解決」への共感

──さまざまな商品をリリースしていますが、特に印象に残っているものや成功したものは何でしょうか。

鈴木:パウダー式のプロダクト「からだにユーグレナ」のグリーンパウダーでしょうね。サプリメントとしてカプセルに加工して飲んでもらうプロダクトから、食材として見え方がひとつ変わったきっかけです。この商品により、ユーグレナが「健康意識の高い人に向けた商品」から「食文化に展開できるもの」になりました。研究活動のみを行っていたのでは至らなかった展開だと思います。

──溶かして飲むだけではなく、食材としても使えるということでしょうか。

鈴木:はい。パンケーキの生地に混ぜたり、出汁っぽい風味を活かしたりと、工夫次第で活用の幅が広がるんです。個人的には、抹茶のようなポジションになってくれたらと思っています。

──「身体にいい」がユーグレナの強みでもあると思いますが、健康面での打ち出しに関してはいかがでしょうか。

鈴木:確かに身体にいい食品ではあるのですが、効果効能に関しては薬事法が絡んでくる話になるため、伝え方には工夫が必要です。また、伝える際の説得力を後押しするためにも、ただ研究するだけではなく、論文の発表も行っています。昨年、医学分野の博士号の二つ目を取ったのも、そうした活動のひとつ。「この分野に詳しい専門家が言っていること」だという根拠に繋がればいいと思っています。また、ユーグレナに留まらず、さまざまな素材の研究を続けてもいるんです。

──食品、化粧品、ヘルスケア、果てはバイオ燃料と研究領域が幅広いですが、研究者は各領域に特化しているのでしょうか。

鈴木:組織としてはヘルスケアカンパニーとエネルギーカンパニーの大きくふたつに分かれています。私は全社を見ていますが、部門長としての担当はヘルスケアカンパニーの研究開発部門です。

ヘルスケアカンパニーでは食品、化粧品、ヘルスケア領域ですね。食品部門の研究から化粧品として使える効能が確認され、プロダクトアウトのインプットを行う……といったこともありますよ。

──現在、必要とされている人はどういったスキル、経験の持ち主でしょうか。

鈴木:まず、大前提として会社および事業に共感しているかどうかが大きいです。これは、研究職に限らないことですね。メンバーは多様性を重視しているため、さまざまな人がいます。その時々で詳細は変わりますが、社会を変えるために足りていない部分を補ってくれそうなプレイヤーを欲しています。

──現状では、どういったところが不足していますか?

鈴木:研究開発部門だと、届ける・売るといったお客様に近い側の方が不足しています。商品理解の先、購買層のニーズを理解している人ですね。買ってもらえる商品化のプロセスを理解している方を求めています。

──マーケティングに対する理解度の高さでしょうか。

鈴木:理解度はあるに越したことはないです。ただ、定期的に営業チームと研究チームの打ち合わせを行っているので、重要なのはコミュニケーション能力ともいえるでしょう。営業側のニーズを汲んで開発を行える力が求められます。

共創で社会課題の解決を目指したい

──会社として、今後どのような展開を考えていらっしゃいますか。

鈴木:人の健康に関する部分でいうと、メディカル領域の知見を広げたいと考えています。食品は予防医療、健康寿命延伸にも繋がるものですから。2020年4月に、医師免許を持った医学者のメンバーを採用しました。先端技術のひとつとして、開発に取り入れていきたいですね。

──あらためて、求職者の方にメッセージをお願いします。

鈴木:弊社では、社会が抱える問題をみんなで解決していきたいと思っています。この「みんな」は弊社で働くみんなだけではありません。むしろ、弊社だけですべての社会問題を解決できると考えるのはおこがましいと考えています。

オープンイノベーションも認知されてきています。私個人としては、他社との共創の面で力を発揮できる素質を持っているかどうかも採用の際に重視している点ですね。社会問題を広く捉え、自社内での研究だけにこだわらず、広い視野で他社と共創できる人と働きたいと思っています。

あとは、その人のオリジナリティがある人。要するに、「この分野では誰に対しても負けない強いもの」を持っている人ですね。その強みで組織としての働きが拡大することに寄与してくれる人に来てほしいです。

なかには現在キャリアを形成しようとしている発展途上の人もいると思います。そうした方は、まず「自分はこういう人です」と社会において一行で説明できる冠があればいいと思っています。自分をどういった一行で説明できるようになりたいかイメージすることができれば、そのためのキャリアはどういったものが適しているかイメージできるようになるのではないでしょうか。

RD SUPPORT無料転職支援サービス

「食品」「化粧品」「バイオ・ヘルスケア」業界専門の転職エージェントとして
コンサルタントが、あなたの納得のいく転職活動をサポートします。