取締役副社長
青山 海太竜樹氏
小さな企業だからこそ、できる挑戦がある
爪が薄くなる悩みを抱えたジェルネイル愛好家のための『ネイリストサプリ』や、母乳の仕組みでつくられた免疫プロテイン『アイムプロテイン』など、ユニークな新商品を開発し続けるオルト株式会社。設立40周年という長い歴史を誇り、健康食品の受託開発・製造（OEM）から自社商品の研究・開発まで幅広く事業を展開する、健康食品業界の知られざる優良カンパニーだ。オルトの特色について取締役副社長の青山海太竜樹氏はこう語る。
「私たちオルトは自社工場を持たない、いわゆる“ファブレス企業”。そこで求められるのが独自の開発力です。“新市場創造”をキーワードに、社内に試作研究室を設置。まだ競合他社が着手していない新カテゴリーを開拓し、思わず消費者が手に取ってしまうような魅力的なコンセプトを持った、高機能・高品質の商品を研究・開発しています」
そんなオルトの“新市場創造”の精神が体現された好例が、2013年から販売されているまついく専用サプリ『バンビウィンク』だ。まつ毛のボリュームに悩む人のための業界初・まつげ専用サプリは、そのキャッチーなコンセプトと、飲むだけでまつ毛がぐんぐん伸びる高い効果で、女性を中心に大ヒット。人気ファッション誌やテレビ番組でも数多く取り上げられている。
「『バンビウィンク』が生まれたのは、その1年前に発売した『ネイリストサプリ』がきっかけ。『ネイリストサプリ』を摂るようになってから、爪だけでなく、まつ毛も伸びてくるようになったという声をユーザーのみなさんから多くいただいたのです」
爪と毛はケラチンというタンパク質の一種を主成分としている。『ネイリストサプリ』に含まれる、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素ビオチンが、爪だけでなくまつ毛にも効果を発揮したのだ。
ならば次はまつ毛のためのサプリがつくれないか。そんなメンバーの熱意から誕生したのが、『バンビウィンク』だった。発売から6年が経過した今も定期的に商品改良を重ね、まつ毛専用サプリとして不動のブランド力を有している。
「小さな会社だからこそ、市場のスケールにとらわれず、大手が手を出さないようなニッチなマーケットに挑戦できるのがオルトの強みのひとつ。他にも、飲む日焼け止め『やかないサプリ』や寝不足による肥満体質を解消する『夜ふかしさんのためのサプリ』など、ユニークな新商品が続々と生まれています」
全員が開発者視点。オルトから次々とヒット商品が生まれる理由
なぜオルトはこれだけオリジナリティに富んだ新商品を次々と開発できるのか。その理由を探っていくと、「開発」に軸足を置いた独自の社内カルチャーが浮かび上がってきた。
「職種に問わず、全員が“開発者マインド”を持っているのがオルトの特徴です。商品開発を担当しているのは社内で4人ですが、営業や直販など他のセクションのメンバーも全員が同じ商品開発手法を学びます。実際に商品開発に対して意見を発信することも可能です。そうしたオープンな組織風土が商品開発に貢献している部分はあるかもしれません」
さらにその組織風土が築かれた原点を紐解いていくと、厳しい冬の時代を乗り越えたオルトの復活劇へと辿り着いた。
「ありがたいことに今でこそ順調な業績を堅持していますが、ほんの数年前までは経営的に苦しい時期がありました。赤字続きの逆風の中、突破口となったのが、自社ブランドの強化です。通販事業を次の柱にすべく、積極的に広告展開するなど先行投資を惜しまなかった。その結果、『ネイリストサプリ』や『バンビウィンク』のようなヒット商品が生まれました。OEMへも好循環となり現在につながる安定的な収益基盤が確立されたのです」
逆境だからこそ、守りに入るのではなく攻め続けよう。わずかな可能性を信じ、果敢に新しい市場に挑戦したことで、それまではOEMが主体だったオルトに追い風が吹いた。今でもオルトが“新市場創造”を合い言葉にひたむきに商品開発に取り組み続けているのは、そんな復活の歴史があるからだ。
「逆境を共に乗り越えてくれた当時のメンバーには今でも感謝しかありません。だからこそ、オルトでは社員のために快適な会社をつくることを理念のひとつに掲げ、利益が出れば可能な限り社員に分配したり、経営状況や今後の戦略に関する意思決定を開示するなど、社員ファーストの組織運営を心がけています」
どんなロングセラーも、アイデアの源泉となるのは人。商品開発力が強みのオルトにとっては、文字通り人材こそが最も重要な経営資産なのだ。
「逆境を共に乗り越えてくれた当時のメンバーには今でも感謝しかありません。だからこそ、オルトでは社員のために快適な会社をつくることを理念のひとつに掲げ、利益が出れば可能な限り社員に分配したり、経営状況や今後の戦略に関する意思決定を開示するなど、社員にとって気持ちの良い会社づくりを心がけています」
そう青山氏は胸を張る。共に働く仲間を何よりも大切にしながら、オルトは次なるヒット商品の開発を狙う。
