HRテックとは?HRテックの必要性と種類、導入のメリットを解説

HRテックとは?HRテックの必要性と種類、導入のメリットを解説

人手不足が深刻な経営課題となっている状況で、採用や人材育成、人事評価、組織開発などに力を入れる企業が増えています。しかし、人事部門も既に人手不足となっていることや、アナログ管理の業務が多いという点からも、HR分野の業務の効率化が課題となっています。
そこで注目されているのが「HRテック」です。本記事ではHRテックの必要性や領域と種類、導入のメリットなどについて解説します。

HRテックとは

「HR」は、「Human Resource」の頭文字をとって略したもので「人的資源」を指します。
この「HR」に「Technology」を組み合わせた造語が「HRテック」で、最先端のIT技術を活用し、採用や労務管理、評価、育成などさまざま人事の業務を効率化するシステムのことです。

HRテックの必要性

企業がHRテックを導入する背景には、以下の必要性があげられています。

人材獲得競争の激化

少子高齢化が急激に進む日本では、労働人口の減少による人手不足が深刻です。採用市場は売り手市場が続いており、優秀な人材を確保するための採用コストが企業の大きな負担となっています。
このような状況から、企業は採用活動の効率化を図りながら、質を高めるための取組が必要となっています。一方で、多くの企業の人事部は人手不足によって、採用活動に十分なマンパワーを投入できない状況です。
HRテックの導入によって、定型的な事務プロセスを効率化できれば、空いた時間を採用活動のコアな業務に充てることができます。

働き方の多様化

政府が進める「働き方改革」により、企業はリモートワークや短時間勤務など多様な働き方を実現することが求められています。しかし、従来は会社に出勤することが前提となっていたため、例えば在宅勤務の場合には、勤怠管理の方法を見直す必要があります。
また、自宅やサテライトオフィスなど職場とは違う場所で働いていると、管理職が仕事ぶりを評価できないという課題もあります。このような多様な働き方に対応するには、出勤せずとも勤怠管理ができる仕組みや、実績を元に客観的に評価できる仕組みが必要です。

重要性が増す人事戦略

グローバル化による国際競争の激化や、少子高齢による人手不足、雇用の多様化など企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、必要な人材を確保、配置し活用する人事戦略の重要性が増しています。
人事戦略の実現には、経営環境の変化に合わせて、迅速に人材の採用・育成・配置を行う必要があります。そのために、人事業務を効率化するHRテックの導入は不可欠です。

HRテックの領域・種類

HRテックの導入が進められている主な領域や種類には、次のようなものがあります。

採用

HRテックの導入が、最も期待されているのが採用の領域です。採用業務は、応募者から提出される大量の応募書類の確認や、選考日程の連絡、面接評価の管理、内定通知や承諾書の送付など、ほとんどを紙ベースでやりとりしたため非効率的で、リモートワークなどの環境ではできませんでした。
HRテックの代表的な種類である採用管理システムでは、求人情報の一元管理や応募者情報の管理、選考情報の管理など採用に関わる情報を一元的に管理できるシステムです。

労務管理

出勤や労働時間、有給休暇、年末調整といった労務管理は、手続きの書類を社員一人ひとり作成していることが多く、HRテックを導入することで業務を大幅に効率化することができます。
製品によって機能は異なりますが、多くの労務管理システムは、社会保険などの書類の作成と電子申請、WEB給与明細の作成、年末調整、マイナンバーの管理、従業員リストの作成などが行えます。

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、従業員が持つ能力やスキル、資格などを一元管理することで、戦略的な人員配置や人材育成を行うことを言います。

タレントマネジメントシステムには、スキル管理機能、人事評価、目標管理機能、後継者管理機能、育成計画機能などが搭載されていて、人事戦略を効率的に行うことができます。

導入のメリット

HRテックを導入する必要性については前述の通りですが、具体的な導入のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

業務の効率化

HRテックによって、勤怠管理や給与計算、年末調整などの定型的な業務を自動化して効率化できます。事務作業を効率化することで、人事担当者の業務負荷が軽減でき、人事戦略など重要な業務に専念できます。

優秀な人材の採用とミスマッチの防止

採用管理システムでは、採用業務を効率化することで、応募者との面談・面接の時間により自社にとって必要な人材かどうか判断するという、最も重要な採用業務に時間を充てることができます。
また、自社にマッチした人材か応募者の志向に合っているかを見極めることで、入社後のミスマッチを防いで社員の定着も図れます。

データに基づく人材開発や組織開発

HRテックを導入することで、これまで経験や勘によって行われていた、人員配置や人事評価を客観的なデータに基づいて行うことができます。

従業員一人ひとりのスキルや能力のデータを分析することで、最大限に引き出し必要なスキルを習得させるための教育や研修を行えます。また最適な人員配置を行うことで組織を活性化して、組織のパフォーマンスを向上させることも可能となります。
このようにHRテックの導入には多くのメリットがありますが、一方で人事評価をデータに頼り過ぎて、データには現れない部分を見落としてしまう危険性があります。データにより客観的に評価することも大切ですが、人柄や性格などデータではわからない部分を評価することも大切です。

まとめ

HRテックを導入することで、HR分野のさまざま定型業務を自動化・効率化することができます。しかし、HRテックのシステムには、さまざま種類があるため、自社の課題と導入目的を明確にして、必要なシステムを選択することが重要です。
そのため、導入の際には、何のためにHRテックを導入して、どのような課題を解決して、何を実現するのかをしっかりと検討しましょう。