従業員エンゲージメントとは?向上させるための4ステップと成功事例をご紹介

従業員エンゲージメントとは?向上させるための4ステップと成功事例をご紹介

少子高齢化による人材不足が進み、多様な働き方が求められる中で、従業員にいかに定着してもらうかが企業にとっても大きな課題となっています。そんな中、最近注目を集めているのが、企業と従業員の信頼関係や愛着を示す「エンゲージメント」です。
似たようなものに以前解説した従業員サーベイなどがありますが、本記事では「エンゲージメント」の概要から、エンゲージメントを向上する方法や成功事例を解説します。
職場の離職率にお悩みの方、魅力ある職場づくりを模索中の方は、ぜひ参考にしてください。

エンゲージメントとは

エンゲージメントとは本来、「約束」「契約」「婚約」などを意味する英語です。
人事の分野では、企業と従業員の信頼関係や親密度を表す言葉として使われます。特に最近は、従業員がどれだけ自分の会社を信頼し、愛着を持っているかを表す「従業員エンゲージメント」に注目が集まっています。

従業員サーベイ、従業員ロイヤリティとは何が違う?

従業員エンゲージメントと並んで、「従業員サーベイ」や「従業員ロイヤリティ」という言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。
「従業員サーベイ」とは、従業員の満足度や愛着に関するアンケート調査のことを指す言葉です。
また、「従業員ロイヤリティ」には「忠誠」「忠義」などの意味があり、日本語では愛社精神とも言われます。
「エンゲージメント」は企業と従業員が対等な立場と考えるのに対し、「ロイヤリティ」は従業員が企業に尽くすという主従関係で考えるのが、異なる点です。

従業員エンゲージメントを高めた成功事例

ここでは、従業員エンゲージメントを高めた成功事例として、世界的に有名なスターバックスの事例をご紹介します。

スターバックスと言えば質の高い接客が特徴の1つですが、実は同社には接客マニュアルがほとんどありません。おすすめ商品の紹介やドリンクカップにメッセージを書くなどのサービスは、従業員が自ら考えて自発的に行っているものだそうです。これは偶然生まれたものではなく、背景には次のような経営戦略がありました。

2007年頃、スターバックスはアメリカ本国で業績悪化が止まらない状態にありました。当時のCEOは経営を立て直すため、何よりも従業員との関係性の改善に力を入れます。
具体的には、従業員を「パートナー」と呼び、会社と対等な存在として尊重すること、仕事ではなく個人の成長目標を共有したうえで働いてもらうこと、アルバイトの学生たちも含めて人事考課やコーチングを取り入れること、などを実行しました。
その結果、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上し、さらには業績も見事に回復を果たしたのです。

この事例から、企業経営や業績にとって、従業員エンゲージメントがいかに大切なものかが分かります。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めると、企業には以下のようなメリットがあります。

・職場の雰囲気が良くなる
・従業員の退職を防げる
・業績の向上につながる

従業員エンゲージメントが高いと、従業員は職場を自分の居場所であると感じ、意欲的に仕事に取り組めます。
メンバー全員が「会社をより良くしたい」と同じ方向を向くことで、意見交換もしやすくなり、トラブルも早期解決が可能です。職場環境が良くなると退職する人も減るため、一人ひとりの知識やスキルの習熟度が上がり、業績の向上にもつながります。

従業員エンゲージメントを高めるための4ステップ

従業員エンゲージメントを高めるためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか。
ここからは、4つのステップに分けて解説します。

1. 目標・ビジョンを決める
2. 現状を把握する(従業員サーベイ)
3. 改善策を立て、実行する
4. 定期的に効果を測定する

さっそく見ていきましょう。

1.目標・ビジョンを決める

まずは、理想とする職場のあり方を描くことが重要です。
多くの企業には、すでに経営理念などがあると思います。しかし、経営理念は「幸せの追求」や「社会貢献」など抽象的な言葉が使われがちで、実際のところ従業員にどのような行動を期待するのかが分かりにくいことも多いです。
そのため、例えば「7つの約束」や「4つのやらないこと」など、小学生でも分かるレベルにまで落とし込むと、目標を共有しやすくなります。

2.現状を把握する(従業員サーベイ)

目標が決まったら、次は従業員サーベイで現状を把握しましょう。
サーベイを実施する際には、目的を説明したり、匿名で回答したりすることで、従業員が安心して率直な意見を出せるようになります。

以下は、エンゲージメントを測定する質問の一例です。
5段階評価などで回答を集めると、集計・分析がしやすくなります。

・会社の理念や目標に賛同できるか
・職場の上司や同僚など、誰かが自分のことを気にかけてくれていると感じるか
・職場で自分が役に立っていると感じるか

3.改善策を立て、実行する

従業員サーベイで得た結果をもとに、課題を洗い出して改善策を考えます。
改善策は、コストや難易度に関わらず、思いつく限りの方法を挙げてみましょう。
アイデアを出し尽くした後で、総合的に判断して実際に取り組む方策を決定します。実際に社内で取り組みを始める際にも、目的や期間を明確にし、従業員と共有しながら進めることが成功の秘訣です。

4.定期的に効果を測定する

従業員エンゲージメントの向上を目指すためには、定期的に効果を測定することも大切です。
取り組みを始める前に比べてどのように変化しているのか、何が成功し、何がうまくいっていないのか…といったことを分析します。
エンゲージメントは短期間で飛躍的に高まるものではないため、年単位で施策の実行と効果測定を繰り返していくことが大切です。

まとめ

価値観の多様化が進むなか、従業員エンゲージメントは企業の存続にも関わる重要なテーマです。
従業員エンゲージメントが高まると、職場の雰囲気が良くなり人材が定着していくことで、ひいては品質やサービスの向上にもつながります。
これらを実現するためには、従業員エンゲージメントを高めるための目標を決め、現状を把握してから、改善策の実施と効果測定を長期的に繰り返していくことが必要です。
より多くの従業員が「ここで働き続けたい」と思う企業を目指して、ぜひエンゲージメント向上に取り組んでみましょう。