
昔と比べ、今は転職に対する印象は必ずしもネガティブなものではありません。しかし、転職回数があまりにも多い場合には、採用担当者に「また辞めてしまうのではないか」「何か問題を抱えているのではないか」といった不安を抱かせてしまうことがあります。
転職回数の多さをマイナス要素として受け取られる可能性があるのは事実ですが、だからといって過去の経歴を変えることはできません。
そこで本記事では、転職回数が多い方がどのように自分の強みを伝えていけばよいのか、採用現場を知るコンサルタントの経験を踏まえてご紹介します。
嘘は絶対NG!
大前提として、経歴詐称は絶対にNGです。実際の事例で、「1年未満で退職した複数の会社をまとめて1社のように記載した」「勤務期間が短い会社をあえて書かなかった」といった、故意に事実を歪めたケースが見られました。
何かの弾みで明るみに出ることも大いにありますし、同業界での転職の場合、思いもよらぬつながりから詐称が知られてしまう可能性もあります。
入社後に経歴詐称が発覚した場合には、企業側から解雇されるリスクもあるため注意が必要です。また、経歴詐称が確認された場合には、サービス提供を停止するエージェントも多く存在します。これくらいなら大丈夫だろう、と自己判断せずに、履歴書・職務経歴書には必ず正しい情報を記載しましょう。
転職回数の多さ、どうする?
「正直に書くと書類の時点で落とされてしまうのでは…」と不安に思う方に向けて、実際にコンサルタントがアドバイスしているポイントをご紹介します。
① 【書類編】職務経歴書の構成を工夫する
転職回数が多くても、直近の勤務先での在籍期間がある程度長いという方は、職務経歴書を作成する際、書く順番を工夫してみましょう。
はじめに目につきやすい1ページ目に直近の勤務先を記載し、具体的な業務内容や実績を詳細に明記します。その上で、それ以前の職歴については、箇条書きなどで簡潔にまとめましょう。
必ずしも過去から時系列に書く必要はありません。最初に“見せたい情報”を配置することで、強みが伝わりやすくなります。
② 【書類・面接編】鉄則は「他責にしない」。未来志向で述べる
2点目のポイントは、「退職理由の伝え方」です。これは書類・面接ともに押さえておきたいポイントです。
転職経験がある場合、採用担当者が聞きたいのは「なぜその会社を辞めたのか」という点です。たとえ真実であっても、他責に捉えられかねない理由を挙げるのはNG。前職や上司を責めるような伝え方をすると、印象を損ねる可能性があります。
そこで大切なのは、事実を簡潔に伝えた上で、「その経験から何を学び、今後にどう活かしたいか」という未来志向の姿勢を示すことです。
たとえば、上司からのパワハラを理由に退職した場合は、
「上司との関係性に課題があり、改善として~を試みたものの難しく、退職を選びました。ただ、その中でも〜という学びがあり、今後に活かしたいと考えています」といったように、他責にせず、自身の意識や姿勢に焦点を当てた伝え方を心がけましょう。
転職回数が多くても、印象は伝え方次第で変えられる
転職回数に対して不安を抱く企業もある中で、印象を左右するのは“伝え方”です。だからこそ、経歴をごまかすことなく、正確に伝えることが大前提です。
その上で、「転職経験から何を学び、今後にどう活かしたいか」を前向きにアピールすることが大切です。転職回数そのものではなく、そこから得た成長や意欲をどう伝えるかが、採用側の印象を大きく左右します。伝え方を工夫し、自分の価値がしっかり伝わる表現を心がけましょう。
転職回数が多いことに不安を感じている方は、プロの視点でアドバイスをもらうことも一つの手です。転職エージェントでは、書類の作成や面接対策だけでなく、キャリアの整理や自己PRのポイントについても的確にサポートしてくれます。ぜひ活用して、より良い転職活動を目指してみてください。